はじめにAnthropic社が提供するAIアシスタント「Claude」には、複数の提供形態(プロダクト)が存在します。本記事ではその中でも、コーディング支援に特化した「Claude Code」と、ファイル操作やブラウザ操作を含む幅広い業務を支援する「Claude Cowork」の2つに絞って紹介します。なお、本記事では以降、Claude Coworkを「Cowork」と呼びます。本記事では、実際にClaude Coworkを社内で試用した体験をもとに、特にChrome連携によるブラウザ操作とPDF操作を中心とした作業例をご紹介いたします。エンジニアの方だけでなく、非エンジニアの方にも活用いただける機能が多いため、幅広い職種の皆様にご参考いただければ幸いです。Claude CodeとClaude Coworkの使い分けまず、両ツールの位置づけを整理いたします。項目Claude CodeClaude Cowork主な用途コーディング・開発作業ファイル操作・ブラウザ操作・業務自動化得意領域コード生成、デバッグ、リファクタリング、コードレビュードキュメント作成、Web操作、データ収集、PDF処理想定ユーザーエンジニア・開発者エンジニア・非エンジニア問わず操作環境ターミナル(CLI)デスクトップアプリ(GUI)特徴的な機能Git連携、IDE統合、コード補完Chrome連携、ファイル生成、スクリーンショット使い分けの実例私の場合、以下のように使い分けています。Claude Codeを使う場面:新機能やバグ修正等のコーディングコードレビューの補助テストコードの生成リファクタリング作業Claude Coworkを使う場面:Webサイトからの情報収集・整理フォームへの入力作業定型的なブラウザ操作の自動化ドキュメント(Word、Excelなど)の作成・編集▲左:Claude Code / 右:Claude Cowork作業例①:Chrome連携によるブラウザ操作Claude Coworkの特徴の一つが、公式のChrome拡張機能「Claude in Chrome」(https://claude.com/chrome)によるブラウザ連携です。拡張機能を介して、AIがブラウザを直接操作できます。Webフォームへの自動入力定型的なフォーム入力作業を自動化できます。入力例:このWebフォームに以下の情報を入力してください。会社名:〇〇株式会社担当者名:山田太郎メールアドレス:yamada@example.comお問い合わせ内容:製品デモの依頼Coworkの動作:指定されたWebページを開くフォームの各フィールドを認識適切な項目に情報を入力入力内容を確認後、ユーザーの許可を得て送信Webページからの情報収集複数のWebページから情報を収集し、整理する作業も可能です。入力例:以下の3つの製品ページから、製品名・価格・主な機能を抽出して比較表を作成してください。- https://webscraper.io/test-sites/e-commerce/allinone/product/60- https://webscraper.io/test-sites/e-commerce/allinone/product/61- https://webscraper.io/test-sites/e-commerce/allinone/product/62※例はスクレイピング練習用のテストサイト(Web Scraper Test Sites)を使用しています。Coworkの動作:各ページを順番に訪問必要な情報を抽出比較表としてExcelまたはMarkdown形式で出力▲作業中の様子▲作業終了複数タブの連携作業複数のタブを行き来しながら行う作業も、一連の流れとして自動化できます。活用例:タブAで検索結果を確認 → タブBの管理画面に転記複数のダッシュボードから情報を集約してレポート作成複数サービス間でのデータ照合スクリーンショットの自動撮影操作の証跡を残したい場合や、画面キャプチャが必要な場合にも対応しています。入力例:この画面のスクリーンショットを撮影して保存してください。活用シーン:操作手順書の作成エラー画面の記録定点観測的なモニタリング作業例②:PDF操作PDFファイルの操作も、Claude Coworkの得意分野です。PDFフォームへの入力申請書類や各種フォームへの入力作業を自動化できます。入力例:添付したPDF申請書に、以下の情報を入力してください。申請日:2026年1月17日申請者:鈴木一郎部署:営業部申請内容:出張旅費精算Coworkの動作:PDFファイルを読み込みフォームフィールドを認識指定された情報を入力入力済みPDFを保存PDFからの情報抽出PDFに含まれるテキストや表データを抽出し、他の形式に変換することも可能です。活用例:請求書PDFから金額情報を抽出してExcelにまとめる契約書PDFの特定条項を抜き出して一覧化複数のPDFレポートから必要なデータを集約非エンジニアでも使える理由Claude Coworkが非エンジニアにも使いやすい理由は、以下の点にあります。1. 自然言語での指示プログラミング言語やコマンドを覚える必要がありません。「この表をExcelにまとめて」「このページの情報を集めて」といった日常的な言葉で指示できます。2. 視覚的なフィードバックTODOリストで進捗が可視化され、何をしているかが常に把握できます。また、ブラウザ操作は実際の画面を見ながら確認できるため、安心感があります。3. 確認ステップの存在重要な操作(フォーム送信、ファイル保存など)の前には必ず確認が入るため、意図しない操作を防げます。自動化による時短効果実際に使用してみて感じた時短効果をまとめます。前提:件数は表中の括弧内の通りで、所要時間はいずれも一般的なPC操作に慣れたメンバーが試用した際の体感値(指示・確認・保存までを含む)です。作業内容従来の所要時間Cowork使用時削減率Webフォーム入力(10件)約30分約5分約83%PDF申請書入力(5枚)約20分約3分約85%Web情報収集・比較表作成約1時間約15分約75%スクリーンショット付き手順書作成約45分約10分約78%※ 上記は参考値であり、作業内容や習熟度によって異なります。特に効果が大きい場面以下のような部分で特に効果が大きいと感じました。同じような操作を何度も繰り返し行う場合複数のソースから情報を集めて整理する場合PDFからExcel、WebページからPDFなどといったフォーマットの変換を行う場合使用時の注意点セキュリティに関する考慮認証情報の取り扱い:ログインが必要なサイトでは、少なくとも試用した範囲ではCoworkがパスワードを直接入力することはありませんでした。認証は手動で行う必要があります。機密情報:社外秘の情報を扱う際は、社内のセキュリティポリシーに従ってください。フォルダアクセス権限:ローカルフォルダへのアクセスは、必要最小限の範囲に限定することを推奨します。情報収集(スクレイピング):取得データに個人情報・機密情報が混入し得るため、保存先の権限管理とマスキング(必要に応じて暗号化)を徹底してください。ブラウザ操作時の留意点複雑なJavaScriptを多用したサイトでは、操作がうまくいかない場合があります。CAPTCHAや二要素認証が求められる場面では、人間の介入が必要です。操作前には基本的に確認ダイアログが表示されるため、意図しない操作を防ぎやすいです。出力結果の確認AIが生成・入力した内容は必ず人間がレビューしてください。特にフォーム送信前は、入力内容を必ず確認することを推奨します。まとめClaude Coworkは、特にブラウザ操作とファイル操作を伴う業務において、大きな効率化効果を発揮します。Claude Codeとの使い分けコーディング・開発作業 → Claude Codeブラウザ操作・ファイル操作・業務自動化 → Claude CoworkClaude Coworkが特に効果的な場面Webフォームへの定型入力複数サイトからの情報収集・整理PDFフォームの入力・データ抽出スクリーンショットを含む手順書作成今後の展望現段階ではリサーチプレビューの段階ですが、ブラウザ操作の精度向上や対応サイトの拡大など、今後のアップデートが期待されます。まずは小規模な定型作業から試してみることをお勧めいたします。業務効率化の新たな選択肢として、Claude Coworkの可能性をぜひ体験してみてください。参考リンクAnthropic公式サイトClaude公式サイト本記事は2026年1月時点の情報に基づいて作成しています。機能や仕様は今後変更される可能性があります。